港の霧が奪う“今”、買付けで権利迷路を断つ48日間の物語

権利迷路を断つ48日間 分断されたIP権利が、意思決定の摩擦を増幅させていく

港の霧は、目に見えるものより厄介だ。輪郭が曖昧なせいで、人は慎重になり、慎重になるほど遅れる。株式会社バンダイナムコホールディングスの前にあったのも、そんな霧だった。作品は熱を持つ。熱は季節と同じで、待ってくれない。けれど熱を運ぶには、権利、契約、窓口、承認──見えない鎖をほどく必要がある。ほどく手が複数に分かれているほど、時間は零れていく。霧を晴らすには、灯りを増やすより、道そのものを引き直すしかない。この物語は、遅れが当たり前になる前に、迷路を断つと決めた企業の話だ。

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この物語の主役となる企業はどこか

これは、株式会社バンダイナムコホールディングスの物語。玩具、ゲーム、映像、アミューズメント施設など、遊びの入口をいくつも持つ企業だ。ひとつの作品が、画面から飛び出し、手のひらに乗り、街のイベントへ流れ込む。その連鎖が強みであり、同時に難しさでもある。連鎖が長いほど、途中でつまずく石が増えるからだ。熱量の高いファンに「今」を届けるには、社内の部門だけでなく、権利を預かる会社や外部パートナーとも同じ時計で動かねばならない。遊びの連鎖を強みに変えるには、意思決定の速度が不可欠だった。

何を学べるのか
  1. 複雑な権利構造が、意思決定の遅れとして現れる瞬間を見抜く
  2. 資本と運用をどう結び直せば、摩擦を「仕組み」で減らせるかを学ぶ
  3. 公開手続の期限を、合意形成の推進力に変えるやり方を掴む

どんな問題に直面していたのか

株式会社バンダイナムコホールディングスが抱えていたのは、創る力ではなく「運ぶ権利」のねじれだった。人気IPは、映像、玩具、ゲーム、イベントへ連鎖して初めて大きく育つ。だが権利の管理が別会社に分かれ、交渉窓口も意思決定の責任も散ると、一本の企画が動くたびに確認が増える。とりわけ海外では、契約条件や地域ごとの規制、配信窓口の多様化が絡み、「今この季節に出す」という判断が遅れれば、ファンの熱は冷め、機会は二度と戻らない。株式会社バンダイナムコホールディングスは、アニメやキャラクターの権利管理を担う株式会社創通に約22.79%を出資していたが、距離は最後の一押しの速度を保証しない。[3] 株式会社創通側も、権利管理と運用体制の重要性を示し、公開買付けへの賛同を表明していた。[2] IPを世界へ広げるほど、分断された権利は意思決定の摩擦として増幅していった。 このままでは、企画が慎重になるほど遅れ、遅れるほど守りに入る循環に落ちる。それが怖かった。

どうやって解決しようとしたのか

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